何年も会ってないのに、ついこないだ会ったみたいに話して、また明日会えるみたいに別れる。そういう友達が何人か、いる。
Natalieは2011年、オランダのアーティストインレジデンスで出会ったスイス人のジュエリー作家だ。その時、彼女はベーコンのスカーフを制作していた。3ヶ月の滞在期間中に作品を仕上げようとあせる私に「3ヶ月じゃ、何にもできないよ。種をいくつか拾えれば十分じゃない?」と言った。
ナタリーがうさぎの歯で作ったジュエリーは秀逸だ。まず、近所の肉屋さんにうさぎの歯125羽分を捨てずに取っておいてもらう。ひとつひとつの歯にシリコンを入れて強度をつけ、ブローチやネックレスを制作。さらに、それらのアクセサリーを身に付けた人たちが125種類のうさぎ料理を振る舞う映像作品を撮る。3年近くかかって、ようやくプロジェクトは完結したと言う。
2014年に、ナタリーからスイスとイタリアの国境でB&Bを始めると知らせが来た。その11月には女の子が生まれて、自分の時間がないんだよぉと言いながらもすこしずつB&Bの準備は進めていた。2016年に私と両親、友人夫婦で訪ねた時は2部屋の準備が形にできつつあった。去年(2019)4月にグランドオープンをして、11月から改装のため、一時休業。2ヶ月の間、やすりをかけまくってサラミそっくりの床を仕上げた。
ナタリーとクリスのB&Bは、COVID-19の感染で大変なイタリア北部に隣接しているので心配していたけれど、終息へ向かっていることが感じられる手紙が届いて、うれしかった。
早く、泊まりに行きたい。
しょっちゅう会えなくても、彼女と同じ時代を生きてるのがうれしい。チューリヒに住んでた頃は夜、バーで働いて「人のために結婚指輪やティアラを作るぐらいなら、バーで働くわ。」って言ってた、ナタリー。