〜2014年度ARTORO“土がぼくらにくれたもの”を終えて〜

2014年12月4日木曜日

アートロ

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11月16日(日)2014ARTORO第6回目の講座「土からの恵みを食べる」を行いました。これで、今年度の講座が修了。3週間たった今、去年より放心状態。去年はこれで終わった!のではなく、ここが始まり。参加者が気づいたり感じたことを、それぞれの持ち場でここから生かして行くんだ!と、明るく強いものをもったことを覚えている。

今年、それぞれの想いを講座の最後に聞いてみたら、来年やりたい(やらねば?)テーマは決まったけれど、自分なりの思うことなど、書けなくなってしまった。あふれることは、この活動を始めた頃、心に掛かっていたことばかり。それを列記してみようかな。

【1】震災から1ヶ月めくらいだったか、ふと見たテレビ番組。海沿いの孤立した集落。被害のなかった高台の2軒に集まって、長がまずこの2軒がもっている米をすべて出してもらい、何日生き延びれるか計算。3日後には助けが来るはずだから、すぐ渡せるように、必要な薬のリストアップ。流されてしまった家に戻って、洗ったら食べられるものなど食料を探す。3日めに少し離れた集落まで救援物資をもらいに行く軽トラは、途中道を塞ぐ倒木をチェーンソーで切りながら進むが、瓦礫でタイヤがパンク。すると、長は、津波で横転している他の車のタイヤをはずし、付け替える。すごいなぁ。あれがなきゃダメ、これがなきゃダメではない、このヒトの力。

【2】震災から4ヶ月目、仙台市に隣接する多賀城市。1ヶ月目に訪ねた時は、流された車や建物、看板やら日用品が道路にまだ散乱していたけれど、それらが瓦礫の山と化していた。100年先分までのゴミ。ほとんどが自然に戻ることのできない素材。便利のためにたくさんいろんなものを作ってきてしまったけれど、ほんとうに必要なものは何だろう?

【3】何がなくても、土さえあれば米は育てられるし、器も作れる。土は地球が生産者で、私たちへのギフト。土の生理は、縄文時代から変わっていない。それぞれの時代で人間が必要とするものが変わっただけ。土は変わっていないのに、焼き物は社会とともに変化する。

【4】2000年前の老子の言葉「無きを以て用を為す」
三十輻共一轂。當其無、有車之用。埏埴以爲器。當其無、有器之用。鑿戸牖以爲室。當其無、有室之用。故有之以爲利、無之以爲用。
(英訳文)
A wheel has thirty spokes and one hub. We can use a wheel because a hub has a hole to insert an axle. We knead clay and make a vessel. We can use a vessel because it has a space with nothing. A house has doors and windows. We can live in a house because it has a space with nothing. So when we use something, we always benefit by "nothing".
(現代語訳)
車輪というものは三十本の輻(や)が真ん中の轂(こしき)に集まって出来ている。その轂に車軸を通す穴があいているからこそ車輪としての用を為すのだ。器を作るときには粘土をこねて作る。その器に何もない空間があってこそ器としての用を為すのだ。戸や窓をくりぬいて家は出来ている。その家の何もない空間こそが家としての用を為しているのだ。だから何かが「有る」という事で利益が得られるのは、「無い」という事が影でその効用を発揮しているからなのだ。

<ここから、参加者の感想を列記します>

自分でも予習しちゃうくらい、自分であぁしたら、こうしたらと考えられて面白かった。(出られる時だけ参加しようと思っていたのに、皆勤。(笑)他の参加者ともっと話が出来るような時間が、もう少し欲しかった…内容、濃すぎ。(Sさん・男性)

自分が種籾から育てた頼りない苗があんなに立派になって、びっくり。普段、やらなくてもいいコトを一生懸命やって、ほんとうに手をかけなくちゃいけないことに目を向けていないんだなぁ。(Sさん・女性)

愛知の美術大学に通う娘からの紹介で参加。登呂は小学生の時、学校で見学に来て以来、まったく来なくなってた。今回参加したのをきっかけに、実の母親が昭和の遺跡発掘に関わっていたことを知って、講座で出会った人たちがみんなすばらしくて、すごいご縁だった。
(Iさん・女性)

考え方やものの見方が変わった!今まで気づかなかったいろんなことに興味を持てるようになって。お寺や歴史的なものを見てもこれまでは確認してるだけだったのが、今はなぜ?と。もっと、もっと、歴史を勉強したい!(Iさん・女性)

東京から通うの、ハードル高いなぁと思ったけど。登呂の土で、登呂の米を食べて、、それだけのことなのに、普段とちがう力と頭を使う感覚が新しいと思った。楽しかった!(Tさん・女性)

お米をもっと、大切に食べないと!(Kさん・女性)

去年参加して、今年も7月から4回参加。今年は今年のテーマがあって、去年とまたぜんぜんちがう。今年も新しいつながりができて、嬉しい。(Uさん・女性)

食べることが好きで、ARTOROに参加したけれど、月一で土に触れることが楽しかった。ご飯の美味しさを知った。(Fさん・男性)

考えることが多くて、常に全力でいられた。人が気を遣いすぎると、稲の持つ力を100%引き出してあげられない。自分のルーツや歴史に興味をもった。今、ここにいる自分にOKが出せて、生きる力が湧いた。(Tさん・女性)

農に興味がなかったけれど…。考え過ぎなくても、自分でただ観て、音が変わるとか、の変化に直感的に対応するだけでいい。(Kさん・女性)

去年参加して、今年は最終回だけ出席しましたが、ARTORO進化してる!!昔の人の努力の恩恵をうけてるんだなってことを知ると、今の生き方や考え方が変わる。(Hさん・女性)

自分の内面を豊かにできた。つながりが、自分を豊かにする。(Yさん・女性)

静岡独特の何か、不思議なものと出会った。これまで石器時代から古墳時代まで、興味があっていろいろ観て来たのだけれど、今まで興味がなかった弥生時代のこの台付き甕、田んぼの土で土器をつくるとか、もっとそとに発信していったらいいと思う。(Sさん・女性)

人間として、たくましくなりたくて、ARTOROに参加。ほんの少し、強くなれたんじゃないか?って嬉しい。台風のあと、隣の田んぼの稲は倒れていたのに、ARTOROの稲は倒れていなかったのを見て、種が持っている遺伝子というか生命力、すごいなと思った。(Yさん・女性)

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何がなくても、やってけるかな?

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。登呂会議の田嶋くん、荻原さん、稲森さん、登呂博物館の小林さん、サポートしてくれた学生(築詩ちゃん、長谷川さん、坂田さん)、長坂さんも!!!

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