一昨日(10月11日)、穂刈りを手伝おうとARTOROの田んぼへ行った。ARTORO第6回の10月20日は稲刈りの予定だが、農家の青木さん曰く「あと1週間もたねーなあ、明日、金太もち以外は刈ろう!」と。
稲は参加者が種(昨年収穫した米)から育てたもので、一種だけでなく、種類もいろいろだからARTOROの田んぼは、色も背の高さもにぎやかな風景。出土品の道具から、稲刈りは現代のように根元から刈るのではなく、穂刈りだったと想像する。
10月10日に、青木さんが穂刈りをしてみたら、思ったより大変で時間がかかるというので今日は手伝いに来てみたが、観察してみると、同じ日に植えた稲でも場所によってまだ穂が緑のもの、同じ穂でも根元が青い、同じ苗でも背の低いとこは青かったり、黄金色だったり。本当に、その日、登呂村の住人70人に必要な分だけをボチボチ穂刈りしていたかもしれないなあ。
それにしても。どこから刈っていいのか、どれが金太もちなのかも、わたし一人ではわからず、一緒に講座を担っている安東米店店主・長坂さんに電話する。(田んぼから携帯電話で、米屋に電話…変な図)
「どれが金太もちか、わかんない。」
「1つ取って、むいてみりゃいいじゃん。白濁してたら、餅米でしょ。」
なるほど、ってほんの10粒籾を取っただけで、爪が割れた。
「“のぎ”ってね、米からひげ見たいの生えてるでしょ?それが青いのは、まだ取っちゃダメ。若すぎる。でも同じ穂で下の方が青いのは、あんがいちょうどよくて、ぜんぶ黄色くなってたら、遅いかも。」
「はぁ。」
と見れば、その“のぎ”ってもんがない穂がある。これが、もしや金太もちか?と思いきや、中の米はふつうに透明な色。また、電話する。
「のぎがない稲があるんだけど。」
「そりゃ、坊主っていうの。もともと稲にはのげが付いてたんだけど、ある時、のげのない突然変異を見つけた人がいてね。今、食べてる稲の品種にのげがないのは、この坊主の遺伝子を引き継いでいるの。カミアカリは巨大胚芽を持った突然変異だけど。のげがないのは、貯蔵や運搬にも体積取らないから都合いいしね。」
なるほどぉ。と考えながら穂刈りをしていると、一粒籾がぽろっと落ちるだけで“もったいないオバケ”が出た。ご飯粒を残すとバチあたると教えられて育ったけれど、こうやって自分で米を収穫し、自分でついて玄米にしたら、ホント、1つもこぼしたくない。米は、年に一度しか収穫できないんだもの。
左が突然変異で“のぎ”がない「坊主」、右はのぎがいっぱいヒゲヒゲのお米。穂刈りをしていたら、あちこちチクチクしてきた。稲には珪酸というガラスと同じ成分が含まれているからだそう。「のぎ」のない品種(品種名:銀坊主)の発見ストーリー。かつての稲オタクたちが突然変異を拾うことで新たな品種が生まれ現代へつながっているわけね。
左2つは、籾がついた状態。たった10粒ほど、これを爪ではずしてみたら爪が割れた。米をついて、玄米にするのはタイヘンなこと。ほんと、この苦労考えたら、一粒も無駄にできない。


