2013年2月22日(金)
「ごんぎつねの世界展」内覧会に行ってきました。
会場に入ってすぐの、
“よのつねの喜びかなしみのかなたに、ひとしれぬ美しいもののあるを知っている、かなしみ。そのかなしみをうたいつづけた。”
この言葉にまず、やられ。
新美南吉としてのデビューとなった「空屋」
お晝(ひる)
空屋の
庭先に
しぼれたダリアが
真赤です
お晝
空屋の
窓の上
牝猫が空を
見ています
お晝
空屋…
この先を読みたくて、展示ケースを自分で開けてページをめくりたかった。
女学校の教師をしていた頃、転校する学生に贈った「リルケ詩集」のとびらに書かれたメッセージには、南吉とある。きっと、この女学生には特別な想いがあったとおもう。
こころはあたたかだった。
ことばはつめたかった。
南吉
会場で手にした、ごんぎつねの絵本。やっぱり泣けた。
29歳。夭折の作家が過ごした時間を手書きの原稿や書簡ともにたどり、生まれた時代はちがうけれども十分、自分のそれと重ねた。
会場の半分は絵本の挿絵を展示していたが、資料の方がわたしには響いた。
「ごんぎつねの世界展」静岡市美術館にて、3月31日まで。